Access抗菌薬使用率(不要な抗生剤を使わない)

当院では以前からAMR(薬剤耐性)について対策をしていました。

  • ウイルスおよび自然治癒が期待できる場合には原則抗生剤を使わない
  • 抗菌薬はできるだけ幅の狭い(ターゲットとすべき病原体以外には効果がない)ものを選ぶ

です。逆に言えば、ウイルスの疾患に抗生剤を使うとことや効く菌の幅が広い抗生剤を使うと、耐性菌が増えることになります。

 世界的に見てもAMR(薬剤耐性)問題は深刻であり、2019年にWHOは抗菌薬が“Access”“Watch”“Reserve”の3つのカテゴリーに分類し、Accessが全体の60%以上になることを推奨しています(AccessとWatch両方に分類されている場合は、Watch換算にするのだそうです)。

画像の説明
http://www.theidaten.jp/wp_new/20190906-74/

 先ほどWHOはAccessの抗菌薬が全体の60%になることを推奨していると書きましたが、日本での抗菌薬販売量に占めるAccess抗菌薬の割合は2022年時点で26.98%にとどまっているのが現状です。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t278/202405/584214.html

 この推奨を守るためには、抗菌薬の使用状況のモニタリングが可能なサーベイランスが可能な感染対策連携共通プラットフォームに参加している事が必要です。当院では、「診療所版J-SIPHE(OASCIS)」に以前から参加し、抗菌薬のデータを定期的に出していました。

 2023年10月~2024年03月のデータが集計されたので、お伝えします。Access比率が92.21%で順位が全体の1.9%だそうです。比較的高い数字とは思いますが、Access比率がもっと高い施設もあることは指摘しておきます。

 なお、今回施設数および順位も表示されていましたが、あえて書きません。登録施設数が思ったよりも少なく比較になりませんし、順位はあまり意味はなさそうです。
 いずれにせよ多くの施設が登録して、全体のAccess比率が高くなることを望みます。

 今後薬剤耐性が進み抗生剤が効かない世界になると、つけを払わせられるのは、現在及び将来の子どもたちです。ご理解とご協力をお願いします。

 なお、当院は上記の基準を満たしているため、6月から月に一回、抗菌薬適正使用体制加算(5点)を算定します。ご了承ください。