【緊急のお知らせ】百日咳による乳児死亡例について
すでにお伝えしていた通り、当院を含め、現在百日咳(百日せき)が流行しています。
このたび、生後わずか1ヶ月の赤ちゃんが百日咳によって亡くなられました。
原因は、マクロライド耐性菌でした。
治療に尽力された医療者、ご家族のお気持ちを思うと、辛いものがあります。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
百日咳は赤ちゃんにとって命に関わる感染症です
百日咳は、激しい咳が長期間続く細菌感染症です。
とくに生後間もない赤ちゃんは免疫が不十分なため、重症化しやすく命に関わることがあります。
しかし赤ちゃん自身は、生後2ヶ月を過ぎるまでワクチンを接種できません。
そのため、周囲の大人や子どもが百日咳にかからないようにすることが、赤ちゃんを守る鍵となります。
大人・子どもへの追加接種が重要です
百日咳の免疫は時間とともに弱まるため、過去にかかったことがあっても再び感染する可能性があります。
以下のようなタイミングでのワクチン追加接種が推奨されています:
- 妊娠27〜36週ごろの妊婦さんへのDPTワクチン
- 小学校入学前(MR二期と同時期)の接種
- 11〜13歳頃のティーンエイジャー世代でのDPT追加接種(DTワクチンの代わりに)
当院には海外渡航用に輸入したTdapと国産のDPT(DTaP)がありますが、現状では国産のワクチンを勧めています。
日本では妊婦のDPT接種はオフラベル(医薬品を承認されていない効能・効果、あるいは、用法・用量で使用すること)ですが、現在妊婦に対するDPTワクチンの有効性および安全性に関する研究が進んでおり、現時点では良好な結果のようです。
妊婦に対する百日咳含有ワクチン接種の抗体応答と反応原性及び児への移行抗体に関する研究:沖縄Study
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202502227908602909
咳がある方は必ずマスクを
百日咳は飛沫感染します。とくに初期は風邪と見分けがつきにくく、無症状のうちに感染を広げてしまうこともあります。
咳が出る方は、以下の点にご協力ください:
- 必ずマスクを着用する
- 赤ちゃんや妊婦さんの近くではマスクを外さない
- 症状がある場合は無理に外出せず、医療機関に相談を
赤ちゃんを守るために、いまできることを
百日咳の流行は一部地域にとどまらず、広がりを見せています。
一人ひとりの予防行動が、小さな命を守る力になります。
ぜひ、ワクチン接種をご検討ください。
そして、咳のあるときはマスクの着用をお願いします。
[NHKニュース:乳児が百日咳で死亡、耐性菌検出]
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250405/k10014770491000.html
【追記】予約について
予約はオンラインで可能です。DPT/不活化ポリオワクチン双方とも予約できるようになりました。