次の波に備えるために

色々と考えていたら眠れなくなってしまいました。

そろそろ第7波は収まりそうですが、早晩第8波は来るでしょう。

波と例えているように、何もしなくても波はある程度引きます。

しかし波の立ち上がりが急だと感染者は増大し、社会や医療は逼迫します。今回の第7波の立ち上がりが急だったのは、オミクロンの特性もありますが政府が経済優先のためか蛇口を開けっ放しにした結果(感染防止対策を殆ど取らなかった)です。

「経済を犠牲にして医療を守りたいのか」と言われるかもしれませんが、医療が犠牲になって困るのは周りに周って一般利用者です。私たちは経済も医療も両立させるサステイナブルな解決法を見つける必要があります。

私たちは、「波」をできるだけ低く抑える必要があります。そのためには、適切な行動制限や有効なワクチンが必要です。

そして気がかりなのは、オミクロンは健康な子どもたちをも蝕(むしばむ)ことです。

新型コロナ感染の子ども 中等症・重症の3分の2が基礎疾患なし
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220830/k10013794611000.html

当院の患者さんも入院しているお子さんがいます。

残念ながら今でもお子さんの死亡例が報告されていますが、このまま何もしなければ、第8波では更に多くのお子さんが犠牲になるでしょう。

対策

ワクチン

あえて最初に書きますが、(日本では)5歳以上のお子さんには医学的問題がない限り、ワクチンをしておくべきでしょう。

残念ながら、お子さんの新型コロナの合併症は無視することはできません。
https://www.karugamo-cl.jp/index.php?QBlog-20220818-1

念のために申し上げておくと、神経学的合併症だけではなく、他にも色々合併症はあります(免疫学的・糖尿病など)。

「子どもは軽症だから罹った方がいい」ではなく、子どもが犠牲にならない手段として、ワクチンを捉えたほうがいいでしょう。
残念ながら、日本では子どものワクチン接種率が低いです。

マスク

某所で熱中症対策のためにも、ヒトのいないところではマスクを外したほうがいい、と言われていたのを、拡大解釈されていたようです。

私はマスク装着で熱中症のリスクが上がる明白なエビデンスはないと思いますし、そもそもマスク程度で熱中症になるのであれば、その他の行動も制限すべきです。

海外はマスク無しでうまくやっているのでは、という意見もあるかもしれません。しかし、そういった国々ではロシア・ウクライナ紛争もあり、日本以上に過酷な状況です。

適切な行動制限と補償

日本はロックダウンもせずに、ある程度コロナをコントロールできた、稀有な国だと私は思います。ただしそれは涙を呑んで休業した飲食店の多大な犠牲のもとで成り立っていました。

それを今回の第七波では、企業や個人事業主への補償もない状態では、企業や個人事業主は、そのまま蛇口を開けっ放しにするしか、生活の糧はありませんでした。

今後の若い人たちのためにも、蛇口はある程度開けておくべきですが、どこかしらで締めるのは、大人の責任でしょう。

感染した場合のシミュレーション

同居・非同居関係なく、親族・家族・パートナーと「誰かがコロナになったときのシミュレーション」を考えておくべきでしょう。
私ががコロナになったときは事前に相談していたので、非常にスムーズでした。家族に感謝です。
東京都は「比較的」充実していますが、食料などの備蓄も確認しておきましょう。

自宅抗原キットの準備

家庭に各人最低2個の自宅抗原キットを用意しておきましょう。
いままでインフルエンザがどんなに流行しても、国は自宅検査を認めていませんでしたが、新型コロナは別のようです。適切な検査で自宅で陽性であれば、今のところ適切な投薬などを受けられます。

ただし、条件としては「体外診断薬」の検査です。「研究用」の検査は避けてください。

責任ある立場からの、強いメッセージの発信

一部の学会がエビデンスやコンプライアンス・ガバナンス的に不確かな情報を流す中、鹿児島県医師会は子ども(5-11歳)へのコロナワクチン接種を呼びかける、明確なメッセージを発信しました。

新型コロナ 子ども守るため「ワクチン早期接種を強く勧める」 5~11歳は2回目、12~19歳は3回目を 鹿児島県医師会が緊急声明
https://373news.com/_news/storyid/161618/

ちなみに現在の鹿児島県医師会の会長は、小児科医のようです。

波の準備について

今までの「ツケ」を、子どもたちに負担させるのは本当に忍びないです。申し訳ないです。
ただ、私達の世代で、なんとかする必要があります。