気になる数字 3.ポリオ

 少し前まで、天然のポリオ流行地域といえば、インド・パキスタン・アフガニスタン・ナイジェリアでした。根絶できた天然痘ウイルスと違い、これらの国での根絶は困難だろうと言われてきました。

 そんな中インドでは3年間ポリオ発生がなく、WHOは2014年にポリオ根絶宣言を行いました。ポリオワクチン接種活動の成果です。

インドでポリオ根絶、WHOが公式宣言へ

 その一方で、新たにポリオが流行した国もあります。内戦をしている国、シリアです。
シリアでポリオ発生、根絶への道は?

 シリアの感染者は、ほとんどが2歳以下の子どもだ。2011年の内戦勃発以来、予防接種が行き渡らない状況が続いている。国内への感染経路は不明だが、ローゼンバウアー氏によると感染力が強く、今後“野火のように広がる”可能性があるという。

 また、現在でもポリオ患者数が多いパキスタンでは、ポリワクチン接種チームが殺害されるという事件も起きています。

シリアでポリオ発生、根絶への道は?

TTPの関連組織やイスラム指導者らは、ポリオの予防接種を「米国による政治的陰謀」と非難して妨害を繰り返している。これは、2011年に米軍がパキスタンで行ったオサマ・ビンラディン容疑者の殺害に際して、米情報機関が同容疑者の情報収集に偽のワクチン接種チームを利用したことなどが背景にある。12年7月以降、予防接種のスタッフ少なくとも22人が殺害された。

注:TTP:イスラム武装勢力「パキスタン・タリバーン運動」

 全くひどい話です。ポリオ流行は戦争・貧困といった、大人の事情のせいが殆どです。

 世界の何処かでポリオが流行しそれが世界に伝播する可能性がある限り、ポリオワクチンを中止することはできません。

 日本の不活化ポリオワクチンの接種間隔は今までの三種混合ワクチンに併せて行われており、1歳半頃と比較的早く接種が完了します(2014年4月現在)。このスケジュールだと長期の免疫が期待できません。

 不活化ポリオワクチンの株がセービン株であれソーク株であれ、世界の何処かでポリオの流行が続けばさらなる追加接種が必要になるかもしれません。

 よろしくお願いします。
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