君は「地方病」を知っているか?--日本住血吸虫根絶の話
「日本」が付く病気のことをごぞんじでしょうか?日本脳炎・日本海裂頭条虫(俗称サナダムシ)などあります。もう一つ、日本住血吸虫というのがあります。ちなみにどれも感染する病気です。
日本住血吸虫はかつて日本で流行した寄生虫感染症です。これにかかると、肝硬変で腹水がたまり治療法はありませんでした。かつては「水腫脹満 茶碗のかけら」と言われていました。この病にかかると、割れた茶碗同様、二度と元の状態に戻らず、役に立たない廃人になり世を去る、という意味です。
特定の地域で流行したため、山梨では「地方病」とも呼ばれました。「〽 竜地(りゅうじ)、団子(だんご)へ嫁行くなら、背負って行け棺桶」なんていう悲しい唄もありました。
地方病根絶には非常に長い時間を要しました。病原体の特定、中間宿主(ミヤイリガイ)の発見、ミヤイリガイ対策…1881年(明治14年)に住民が地方病の調査依頼(原因は皆目判らず。水だろうか、土だろうか、それとも身体に原因があるのだろうか。嗚呼悲しきかな、困苦見るを忍びず。)を出してから、1996年(平成8年)に終結宣言がでるまで115年かかりました。
Wikipediaの地方病 (日本住血吸虫症)には、それまでの苦労を垣間見ることができます。郷土愛溢れる文章です。
今年はミヤイリガイを発見して100年になります。国立科学博物館で「日本はこうして日本住血吸虫症を克服した」という企画展が開かれたので、覗いてみました。
日本住血吸虫の生活史です。動物(ヒトも)の糞便から卵が出て、ミヤイリガイ内である程度大きくなったら、動物(ヒトも)の皮膚から入ってくるのです。このサイクル(生活史)を解明するのに長い時間がかかりました。
プラジカンテルが出る前の治療薬でした。1日20回1日おきに20回(2016年4月13日訂正)も注射をする必要があり副作用も強いものだったようです。企画展で治療を受けた方のインタビューがありましたが、相当きついものだったようです。
今では日本では根絶された日本住血吸虫ですが、東南アジアではまだ発生し、多くの人達を悩ませています。プラジカンテルという治療薬も、充分に行き渡っていません。
企画展は、6月16日までです。宜しかったら足を運んで見てください。
追加
企画展で放映されていた「地方病との斗い」がyoutubeにありました。一部と二部があります。
おまけ
同じ国立科学博物館で行われていた特別展グレートジャーニーから。
360万年前のアファール猿人の足あとから復元した、猿人の親子。ナインティナインの岡村隆史がモデルです。
ナイナイ岡村、猿人のモデルになる 国立科学博物館の特別展で
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