胆道閉鎖症:便色カード4番は大丈夫?

胆道閉鎖症は産まれてから早めに対処する必要があります。

 症状としては、黄疸(体の色が黄色くなる)・尿の茶褐色化・それに便の色が薄くなります。肝臓で作られた胆汁は胆道を通して腸に流れます。胆道閉鎖症では腸に胆汁が流れないため、胆汁の成分が血液に流れ込みます。胆汁の成分(ビリルビン)は黄色でそのため黄疸が起こるのです。また、尿は血液から作られるので尿が茶褐色になります。

 問題は便の色です。教科書には「灰白色」と書いてあります。しかし実際は「薄い黄色」のこともあります。これは、血管を通して腸管からビリルビンが浸み出したためと考えられてます。

 便の色が白くないから胆道閉鎖症ではない、とは考えないでください。

新しい母子手帳に添付されている便色カードには1ー7番まで色分けされています。これは成育医療研究センターの松井陽先生らが作成したものです。

便色カードご利用の皆さんのためのQ&A

便色の判定後の対応

  • 1番から3番のうちのどれかに近い場合→1日も早く、その便を持参して、1か月健康診査を受ける予定の医師を受診して、便と便色カードの色を見比べてもらいましょう。すでに1か月健康診査が終わっている場合には、健康診査を担当した医師または病院小児科を受診してください。
  • 4番に近い場合→その後、便色がうすくなって1~3番に近づくかどうかに注目してください。1~3番に近づいてきたと思ったら、その便を持参して、医師に見てもらいましょう。反対に4番から5~7番に近づく場合は、その時点で胆道閉鎖症の可能性はまずありません。
  • 5番~7番のどれかに近い場合→その時点で胆道閉鎖症の可能性はまずありませんが、生後5か月になるまでは便色チェックを続けて下さい。

 問題は4番の場合です。胆道閉鎖症でも便色カードが4番のため、気づかれなかった事もあります。4番でも黄疸や尿が茶褐色であれば、積極的に採血して直接ビリルビンを測ってもらってください。遅くとも半日で結果が出ます。

 多くの場合は母乳性黄疸かもしれません。これは母乳を続けているお子さんに多いです。これも黄疸ですが、同じビリルビンでも間接ビリルビンが上がります。これで母乳をやめる理由はありません。

 繰り返しますが、4番でも黄疸や尿が茶褐色であれば積極的に検査を受けてもらってください。最近は尿で検査できる方法もありますが、時間がかかることもあり疑わしい場合にはお勧めできません。母乳性黄疸であればそれに越したことはありませんが、胆道閉鎖症であれば早期の対応が必要です。

 おまけ

 少し前の某市で配布された母子手帳です。典型的な「灰白色」ですが、この写真一枚だけだと見逃す可能性がありますね。

典型的な「灰白色便」

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