先天性風疹感染調査のお願い

調査は終了しました。ご協力ありがとうございました。

この度、国立国際医療研究センター病院のお願いで、先天性風疹感染の調査をすることになりました。

 胎児期に風疹にかかっても、全員に症状が出る(先天性風疹症候群)わけではありません。しかし、生まれた直後に症状がなくても後で症状がわかったり、感染し続けるためウイルスを長い間排出し感染させることもあります(先天性風疹感染)。

調査の概要を、文章より引用します。

研究の概要

赤ちゃんの唾液を取らせてもらい、風疹のPolymerase Chain Reaction(PCR)検査を実施します。

研究の対象となる方及び研究期間

  • 倫理委員会承認後から2014年5月31日12月いっぱいの予定になりました(現在は倫理委員会の承諾待ちで、検査は行っていません)。
  • 生後2か月未満の乳児、発熱、哺乳不良などの異常がない方
  • 妊娠中に羊水検査を受けて風疹の感染が証明されている方は対象外

先天性風疹感染と先天性風疹症候群とは?

赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときに風疹に感染すると、一定の確率で生まれながらにして風疹ウイルスに感染して生まれてきます。このような状態を先天性風疹感染といい、難聴や白内障、心奇形、糖尿病などの病気を伴う場合には先天性風疹症候群と言います。先天性風疹症候群は生まれた直後にこれらの病気を持っていないことも多く、あとから症状がでてくる場合があります。

また、風疹に生まれながら感染した赤ちゃんは、しばらくの間は風疹のウイルスを排出し続けるため、周りに拡げてしまう可能性があります(表1)。つまりワクチンを打てない他の1歳未満の赤ちゃんや身体の抵抗力が下がっている人(妊婦を含む)に風疹をうつしてしまう可能性があるわけです。

表1

この研究の意義と背景:何故、このような研究をするのか?

2012年夏より2013年にかけて東京や大阪などの都市部で風疹が大流行しました。風疹はウイルスによる病気で、身体にブツブツが出来たり(発疹)、熱がでたり、リンパ節が腫れたりしますが、3-5割の人はこの様な症状がでないと言われています。稀と言われていますが、一度風疹にかかったことがあっても妊娠中は再び風疹に感染する可能性があります。お母さんの症状や抗体の検査では推測できない先天的に風疹に感染したお子さんは一定数出生していると思われます。今回の流行でも妊娠中に風疹にかかった覚えがないお母さんから2名の先天性風疹症候群のお子さんが生まれています。このように予測が難しい風疹の症例を見つけるため、生まれたばかりのお子さん全員に対して風疹の検査を行います。その結果から風疹流行の後にこのような全体検査をする必要性があるかを判断するために今回の研究を行っております。

実際ご協力頂く内容:何をすればよいの?

病院で唾液を採取します。唾液はSalimetrics Infant's Swab®という唾液採取キット(材料:綿100%、綿アレルギーのある方は検査前にご申告ください)を使って口を拭って採取します。検体採取の際に母体情報についての情報をいくつか記載していただきます(別紙参照)。

唾液については、国際医療研究センターの研究施設でPCR検査を行います。通常1か月以内に結果が出ますので、陽性(先天性風疹感染の疑いがある)の結果がでた場合には同意書に記載をいただいた電話もしくはメールに連絡を差し上げます。陰性の場合には連絡はいたしません。

なお、結果についてのお問い合わせについては、お受けしておりませんのでご了承のほどよろしくお願いします。

PCR検査って何?

 PCR検査とはウイルスだけがもつ遺伝子の一部を増やしてウイルスの有無を調べる検査です。遺伝子とは生物がもつ身体(構造)の設計図です。DNA(デオキシリボ核酸)あるいはRNA(リボ核酸)と呼ばれる物質の並び方によって示されており、どの生物もこれを保有しています。今回の研究で検査するのは、赤ちゃんの遺伝子ではなく、風疹ウイルスの遺伝子についてです。ヒトの遺伝子に関する情報は一切検査致しません。

検査が陽性の場合にどうすればいいの?

本研究で行う検査が陽性であった場合には、原則として国際医療研究センター国際感染症センターを受診していただき、確認検査をしていただくことをお勧めします。

今回行う検査は、風疹の診断に用いる検査として日本では保険承認が得られていません。ただし、検査法としては先天性風疹症候群の診断で認められている方法の一つですので、陽性であった場合には風疹に感染している可能性が高いと考えられます。ただし、検査陽性の場合には血液検査による確定診断をしてもらうことが勧められます。

 風疹ウイルスは咳やくしゃみ、唾液のついた手から空気の通り道について感染します。先天性風疹症候群の児では、周囲の感染を防ぐため、ワクチンが接種できない1歳未満の児やワクチンが接種できないことに加えて再感染の可能性がある妊婦には極力会わないようにすることが一般的に推奨されます。加えて、心臓、眼、耳に気が付かないような異常がないか検査をすることが推奨されます。専門的な検査が必要ですので、陽性が確定した方については東京都内の小児専門医療機関に紹介をさせていただきます。

また、国立感染症研究所のホームページ内に先天性風疹症候群に関するQ&Aが掲載されておりますので、こちらもご参考ください。

http://www.nih.go.jp/niid/ja/crsqa.html

検査にかかる費用

今回の研究にかかわる検査については無料で実施します。

 実際の採取映像です。唾液が棒の半分まで染みわたるくらいまでご協力をお願いします。当院でも職員が採取します。

 検査は1月25日(土)から行います。ご希望の方は当院までご連絡をお願いします。できるだけ一般外来とは別の時間で行います。

 よろしくお願いします。

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