風疹排除認定、そしてこれから——二度とCRSを出さないために

2025年9月26日、WHO(世界保健機関)は、日本の風疹排除(rubella elimination)を確認し、公式に発表しました。これは、長い時間をかけて多くの人が予防接種に協力し、社会全体で感染を広げない仕組みを積み上げてきた結果だと思います。

https://www.who.int/westernpacific/news/item/26-09-2025-rubella-elimination-verified-in-japan--and-measles-and-rubella-elimination-verified-in-pacific-island-countries-and-areas

 「風疹はまだ1万人」発言や『MMRワクチン告発』日本上映問題(阻止)問題を知る身からすると、感慨深いものがあります。

 風疹は私自身も感染したことがありますが、発熱や発疹などでつらい病気です。特に気をつけたいのは、妊娠中の感染です。免疫のない妊婦さんが風疹にかかると、赤ちゃんが先天性風疹症候群(CRS)になることがあります。心臓の病気、目の障がい、聴力の障がいなどが起こりうることが知られています。
 私は、家庭の方針でお子さんに予防接種をさせておらず、結果として母親が妊娠中に風疹にかかり、赤ちゃんがCRSになったケースがあったことを知っています。強調しておきますが、お子さんには何の罪もありません。

 風疹とCRSは、ワクチンで防ぐことができます。ただし風疹ワクチンは生ワクチンなので、妊娠中は接種できません。だからこそ、妊娠する前から免疫を持てるように準備したり、周囲の人が予防接種を受けて社会全体で感染を広げないようにしたりすることがとても大切です。

 風疹排除認定を受けて、当事者・家族の会「風疹をなくそうの会『hand in hand』」は、「VPDを知って、子どもを守ろうの会」と一緒に、2026年2月1日、都内で「風疹排除認定を祝う感謝の会〜二度とCRSを出さない決意の日〜」を開きました。

先天性風疹症候群で亡くなった娘に伝えたい「お母さん、宿題完成したからね」風疹排除を祝う会
https://naokoiwanaga.theletter.jp/posts/15bd96de-1a93-4f71-9b63-52407e65cc86

 私はお声がけをいただいていたのですが都合が合わず参加できませんでした。それでも参加された方のお話を聞くと、非常に温かく、そして強い決意が共有された場だったことが伝わってきました。

 ただ、記事内でも言及がありましたが、大事なのは「認定されたからもう安心」ということではなく、これからも維持していくことです。海外との行き来が増えると、感染症はどうしても持ち込まれる可能性があります。接種率が下がった地域や集団があると、そこから再び広がるリスクも残ります。

 世界では麻疹(はしか)の感染が増えているという報告もあります。WHOは、長期的には麻疹の死亡が減ってきた一方で、近年は症例が増えていること、そして接種の遅れや“接種の穴”があると流行につながりやすいことを指摘しています。

 最後に、WHOの記事ではequity(公平性)にも触れられていました。これからは「Vaccine equity(ワクチンの公平性)」——つまり、必要な人に必要なワクチンが、きちんと届くことが、ますます重要になっていくはずです。排除認定を「維持」し、赤ちゃんを守り続けるために、ここは社会全体で取り組む課題だと感じています。

 当院ではこれまでも、それからこれからも、ストップ風疹に取り組んでいきます。