Injury Alert(傷害速報)再び

日本小児科学会にはInjury Alert(障害速報)というのがあります。「今後も子どもたちの傷害を予防するため、小児科医には貴重な症例を報告する責務があると考えています。」という趣旨に賛同し、当院でも何例か報告しています。

 一つは、No.35 鉄板による熱傷です。

 これはブログにもしました。
Injury Alert(傷害速報)No.35 鉄板による熱傷

その後NHKテレビでも報道され、ショボイ後日談も書きました。

 (他にもあるのですが、写真や状況などから、個人情報が特定されてしまう恐れがあり、具体的には示しません。)

 日本小児科学会のInjury Alert(障害速報)を作ったのは、山中 龍宏先生です。山中先生の講演会で、Injury Alert設立の趣旨をお伺いしたことがあります。子どもの事故と言うのはしばしば「アクシデント(accident)」と称され「防ぎ得なかった運命的な事故」と思われがちですが、本来は「インジャリー(injury)」であり、予測でき、予防可能なものである「傷害」ということでした。

 そんな山中先生が、2015年の小児疾患診療のための病態生理2 改訂5版で、『「Injury Alert(傷害速報)」の意義と課題』について書いています。かなりの長文ですが、一文を引用します。

 傷害を予防するには、いろいろなバリアがある。一般的には、傷害を健康問題と考えていないこと、傷害は起こらないという思い込み(まさかうちの子に限って、私が見ているから大丈夫など)、また傷害は予測つかないという先入観がある。そして、子どもの事故は保護者の不注意と決めつける場合が多く、企業は「誤使用」と責任逃れに終始し、行政は「うちの担当ではない」と弁明し、マスメディアは興味本位に取り上げる。そして、すぐにできる傷害予防を気安く求める社会の風潮がある。保護者は、事故は子どもを見ていなかった自分の責任と思い、自責の念にかられ、企業や行政に訴えることはない。

 当院ではこれからも必要に応じて、Injury Alert(傷害速報)を出し続けていこうと思います。

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