ポケモンGoとリオとジカの微妙な関係

 ポケモンGoで遊んでいる皆さん、お元気ですか?

 残念ながら(?)当院はポケストップやジムではありませんが、近隣のポケスポットでは立ち止まってスマホなどを操作している人もいます。レアモンスターのいるところでは、普段外出しない人たちも繰り出して賑わっているようです。

 一見微笑ましいことですが、少し気になることがあります。

 レアアイテムのいる場所の多くは公園や神社・寺院などあり「蚊(ヒトスジシマカ)」の出るところでもあります。そういった場所に小規模ながらもマスギャザリング(mass gathering:「一定期間,限定された地域において,同一目的で集合した多人数の集団」)があると、蚊を介した伝染病が流行る可能性があります。

 ヒトスジシマカが媒介するウイルスはデング熱・チクングニア熱・ジカ熱(必ずしも高熱にはならないのでジカウイルス感染症とも)が代表です。デングについては数年前話題になりましたが、今後問題になってくるのはジカでしょう(チクングニアも問題ではありますが)。ジカの問題として、感染しても8割の人が無症状(不顕性感染)で、性交渉などで密かに拡散します。この複雑な感染経路が、ジカの対策を困難にしています。

 近日中にリオオリンピック・パラリンピックがあります。そこで蚊に刺されてジカに感染している状態の人が帰国後日本で蚊に刺され、さらにその蚊が他のヒトを刺すと、そのヒトがジカに感染するかもしれません。

 御存知の通り妊娠初期の女性がジカに感染すると、胎児が小頭症などの先天性疾患をもつ可能性があります。

 リオでオリンピック観戦し帰国した後、ポケモンGoで多くのポケストップに立ち寄る人も多いでしょう。そこからジカが伝播するかもしれないのです(ポケモンGoに講じる人たちは若い男女、それに今後挙児希望のお父さん・お母さんも決して少なくはないでしょう)。

 ポケモンGoにかぎらず、蚊の多い場所に行く場合はDEETなどの防蚊対策が必要です。またリオに行く場合も、リオのみならず国内でも防蚊対策をしてください。現在のところ少なくとも帰国後2週間は蚊に刺されない対策は必要です。

 またジカは男女とも性交渉などでも感染することが知られています。症状が無くてもリオから帰国後8週間は避妊をすることを求められています。WHOのガイドラインなどではジカの感染が確認されるか症状がみられた場合、男性は少なくとも6か月間、女性は同8週間、性交渉の際は避妊を徹底するよう求める新たな指針を発表しています。

 リオなどのジカ流行地域から帰国後、発熱・発疹・関節痛などのジカウイルス感染症を疑わせる症状が出たら、医療機関にはその情報を事前に伝えてください。ジカウイルスの潜伏期は3-12日ですが、それ以外の熱帯感染症にかかっている可能性もあります。少なくとも帰国後一ヶ月は、勇気を出して申告してください。

 ただし、これらの期間は今後の知見により変わる可能性があります。最新の情報をチェックしてください。

 一応書いておくと南米とは陸続きのアメリカ南部フロリダでは、すでにジカウイルスが流行しています。

参考サイト

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