ワクチンの接種間隔について

ワクチンには大きく分けて、2つあります。生ワクチンと不活化ワクチン(トキソイドも含む)です。

 ワクチン接種間隔は、生・不活化で大きく違います。生ワクチンを接種した後はどんなワクチンであれ、27日(四週間)。不活化ワクチンでは6日(一週間)です(同じ不活化ワクチンは除く)。

  • 生ワクチン→四週間→他のワクチン
  • 不活化ワクチン→一週間→他のワクチン

 この接種間隔には、生-生ワクチン同士以外は医学的理由はありません。あれば教えて下さい。

 生ワクチンを接種した後インターフェロンという物質(サイトカイン)が体の中で誘導されます(インターフェロン自体はワクチンによってだけではなく、普通のウイルス感染などでも誘導されます)。インターフェロンの影響が残っている時期に次の生ワクチンを接種すると,ワクチンの免疫がつきにくくなることもあり、四週間の接種間隔が設けられています。

 しかし、それ以外ワクチンで接種間隔を開ける必要はありません(おなじワクチンを接種する場合は除く)。

 また、ロタワクチン(ロタリックス・ロタテック)は生ワクチンですが、これ迄のワクチンと作用機序が違うため(インターフェロンを誘導しない)、本来であれば接種間隔の縛りを作る必要はないはずです。

 副反応が強く出ることもありません。例えばの話、ヒブワクチン(不活化)・小児肺炎球菌ワクチン(不活化)・MRワクチン(生ワクチン)・四種混合ワクチン(不活化)を一日置きに接種しても医学的には何ら問題はありません(しませんが)。

 「食中毒が起きた時にどの食材が原因かわからないから、次の注文は一ヶ月後でお願いします」というレストランに皆さん行きたいでしょうか?このロジックは「副反応が出た時にどのワクチンが原因か分からないから、接種間隔を設けている」というのと同じです。

 医学的根拠の無い制限は、結局のところエンドユーザー(子どもたち)が困ることになります。

 シンプルに、生ワクチン間の接種間隔(4 週)と,同一不活化ワクチン間の接種間隔(3~8 週)以外の規制は取っ払ったほうがいいでしょう。

 平成24年に日本小児科学会が厚労省に要望書を提出していますが、その後大きな進展があったとは聞いていません。下に一部引用しておきます。

http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_120921_4.pdf

平成 24 年 9 月 19 日

厚生労働大臣
小宮山 洋子 殿

公益社団法人 日本小児科学会

会長 五十嵐 隆

異なるワクチンの接種間隔変更に関する要望書

 異なるワクチンの接種間隔について、従来我が国においては、生ワクチン接種後は 27 日以上、不活化ワクチン接種後は 6 日以上空けるように定められている。
 注射生ワクチン同士の接種については、免疫産生のうえで理論的に起こり得る干渉現象を回避するために、同時接種でない場合は 27 日間以上の接種間隔が必要である。しかし、不活化ワクチンや経口生ワクチン接種後のすべての種類のワクチン接種、あるいは注射生ワクチン接種後の不活化ワクチンや経口生ワクチン接種については接種間隔を置かなければならない特段の科学的理由は見当たらない。米国や英国をはじめとする海外のほとんどの国においては、注射生ワクチン同士の接種間隔に規制を設けているが、他の接種間隔には規制を設けていない。また、最近の我が国における有害事象報告において、接種間隔が最短である同時接種における重篤な有害事象の明らかな増加はみられない。
 沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン、インフルエンザ菌b型ワクチン、肺炎球菌結合型ワクチン、組換え沈降 B 型肝炎ワクチン、弱毒生ロタウイルスワクチン、不活化ポリオワクチン(平成 24 年 9 月 1 日導入)など乳児期に接種すべきワクチンは増加しているが、現状の接種間隔の規定により、適切な時期に適切な数のワクチン接種が行いにくい状況となっている。
 以上より、異なるワクチンの接種間隔について、以下のように改訂することを要望する。

1) 乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、乾燥弱毒生水痘ワクチン、乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン、経皮用乾燥 BCG ワクチンなど注射生ワクチンを接種した日から、次の注射生ワクチン接種を行うまでの間隔は 27 日以上置くこと、次の不活化ワクチンや経口生ワクチン接種を行うまでの間隔は制限しないこと。

2) 沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン、インフルエンザ菌b型ワクチン、肺炎球菌結合型ワクチン、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン、沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド、組換え沈降 B 型肝炎ワクチン、組換え沈降ヒトパピローマウイルス2様粒子ワクチンなど不活化ワクチンを接種した日から、次のすべての種類のワクチン接種を行うまでの間隔は制限しないこと。

3) 弱毒生ロタウイルスワクチンなど経口生ワクチンを接種した日から、次のすべての種類のワクチン接種を行うまでの間隔は制限しないこと。

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