タミフルを出さない医者

数年前ですが、私は「タミフルを出さない医者」ということで一部で有名でした(正確には保護者と話し合った上でタミフルを処方しない)。

 一部でクレームが有ったかもしれませんが、流れが変わったのは「タミフルによる異常行動報道」です(タミフルが諸悪の根源としてマスコミが報道したのは今でも覚えています)。

 それから暫くの間、私は「タミフルを出す医者」ということで一部で有名でした(正確には保護者と話し合った上でタミフルを処方する)。

 そんなテレビが、今では 忘れたかのように点滴による抗インフルエンザ薬のCMを流しています。

 そのCMを巡っては人口に膾炙した感はありますが、高山義浩先生の記事を紹介します。商品名は書いていませんが、新聞としてはかなり踏み込んだ内容だと言えます。

不誠実な製薬会社の宣伝キャンペーン

 日本では通常のインフルエンザでも抗インフルエンザ薬の処方率が高いと聞きました。マスコミの報道もあると思いますが、背景には「インフルエンザくらいでは休ませない・休めない」という日本の背景があると思います。

 抗インフルエンザ薬で熱を下げても感染力は大差ないので、早めに社会復帰(登校・登園)することで却ってインフルエンザを広げてしまったという笑えない話もあります。そのため、学校でのインフルエンザ出席停止期間が変わってしまいました(インフルエンザの出席停止期間・2012年改正)。

 あと、気になるのは「保育園(幼稚園)でインフルエンザの検査をするように言われてきました」という声です。すごいのになると「キョウダイがインフルエンザだからということで、この子は発熱していなくても検査するように園から言われました」ということもあります。

2014-01-15 インフルエンザ・シーズンの定番のお話

 限りある医療資源で、どのように診察すべきか悩む日々ですが、言えるのは「冬の発熱=インフル検査=抗インフルエンザ薬」ではないということです。一般的にインフルエンザの検査は発熱後すぐでは検出できません。重症感のないこどもを深夜、何時間も救急外来で待たせるのは、時として子どもの負担になることもあります。

 「県立柏原病院の小児科を守る会」のサイトに、小児救急小冊子というのがあります。発熱した時などにどうすればいいのか、わかりやすく書いてあります。PDFファイルでもありますが、当院にもあります。ご希望の方がいましたら、今のところ無料配布しております。

よろしくお願いします。

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