赤ちゃんの向き癖:フェンシングスタイルは股関節脱臼誘発

日本小児整形外科学会に股関節脱臼の資料がアップされました。医師用の乳児股関節健診推奨項目(PDF)と保護者向けの先天性股関節脱臼予防パンフレット(カラー印刷用)(PDF)です。パンフレットは非常に良く出来ていると思います。生まれたばかりの赤ちゃんがいる方は、ぜひとも印刷して壁に貼ってください。

 パンフレットから抜粋します。

非対称性緊張性頸反射

 左が正常な体位です。狭い子宮内で適応できるように屈曲優位になっています。その影響が出生後も残っているのです。足が開排位(股関節が左右に大きく開いた状態)になっているのがわかりますね。

 一方右側が非対称性緊張性頸反射(ATNR:Asymmetrical Tonic Neck Reflex)というものです。向けた側の上下肢は伸び反対側は屈曲するという原始反射で、生後から5-6ヶ月まで続きます。(写真は左腕が伸びているので非典型的です)。フェンシングのようなスタイルからフェンシング反射ともいいますが、歌舞伎の見得や仁王像とイメージを重ねる人も居ます。

 赤ちゃん(成熟児)を腹ばいにすると膝を曲げてヒップアップな姿勢になりますが、これは赤ちゃんが呼吸をするために首を横に向けるために膝が曲がるATNRの影響です。

 赤ちゃんの片足が強い屈曲位(立膝)でもう片方が伸びたまま、という状態が続いた場合に股関節脱臼が起きやすくなります。また、胎内で骨盤位が続いた場合も出産後足が開排位を取りにくく、股関節脱臼のリスクになります。

 顔の向きを反対側にすると手足の進展・屈曲も逆転しますが、いつも典型的なATNRを取る場合はかかりつけの小児科や整形外科にお問い合わせください。

 パンフレットには「コアラ抱っこ」について載っています。当ブログも御覧ください。先天性股関節脱臼について-コアラ抱っこが大事

それでも股関節脱臼を見落とすことがある

 上記の医師向けのリーフレットには、

問診、身体所見のみで乳児股関節異常をもれなくスクリーニングすることはできない。

と書かれています。現状では限界が有ることをご理解ください。

参考文献

 とても参考になりました。NICUや新生児に携わるスタッフ向けです。

出生早期の新生児正しい見方―隠れた異常を早く発見!
田中 太平
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